今回はかなり専門的な話になります。ご興味のある方はご覧ください。
先日EVIS EXERA ⅢのGIF-H190スコープでの経口内視鏡検査を施行させていただきましたが、予想以上のハイクオリティーな画質に驚きました。あまりに画質がよく、内視鏡の動きに映像がずれなくついてくる感じであったため、最初は画面が迫ってくるような感覚を覚えました。これまでのOLYMPUSの内視鏡(H290など)はカメラの動きに対して少しゆっくり映像がついていくる感じであったところが、EXERA Ⅲ GIF-H190は内視鏡の早い動きにもついてくる感じでした。自分がイメージした感覚よりも先にカメラが粘膜に近づいていくような感じがありとてもリアルで、思わずモニターを押して距離をとったことを覚えています。(画面表示を縮小することでこの感覚は解消されました。)初めて富士フィルムのLASEREOを使用した感覚とよく似ていました。おそらくこれまでのOLYMPUSがこだわり続けた面順次方式ではなく、同時方式を取り入れたことによることと、後で記載するCCDの画素の微細化による影響と考えられます。
これまでの面順次式では単色のCCDを使用し、赤緑青の3原色フィルターを通した光を順番に照射しその合成像を画像として得ていました。よって、面順次方式では同時方式より高画質な画像が得られますが、原色の信号が同時に得られないため動きの速い被写体では 色ズレがおこりやすいです。一方、同時方式では色ズレはおこりません。しかしその反面同時方式では高解像度化のためにCCDの画素数を増やすことが必要になりますが、画素数の多いCCDは大きく、内視鏡が太くなってしまいます。
しかし、技術の進歩によりCCDの画素の微細化、つまりは小型化に成功し、オリンパスは同時方式でも面順次方式に劣らない画質を得ることに成功したのです。同時方式の欠点を克服しました。
とにかく鮮明な画像で驚きました。中遠景のNBI:Narrow Band Imaging(狭帯域光観察)もとても視認性がよく感動しました。当然内視鏡はあくまで道具でありますので、病気を見落とさない丁寧な観察を忘れてはいけません。
オリンパスはこれまでの面順次方式に加えて、同時方式をものにしました。今後このCCDが面順次方式に採用されれば、さらなる画質の向上が望めます。H290の後継機が楽しみです。そして今後さらにCCDの画素の微細化に成功すれば、画質の向上や細径化(患者の負担軽減)、さらには用途拡大にも繋げることができるでしょう。H190の後継機は一体どのようなものになるのかと期待が膨らみます。今回のオリンパスのチャレンジが日本の内視鏡レベルの向上に繋がり、それが多くの方の病気の早期発見に繋がればと思います。
今回オリンパスを採用しましたが、富士フイルムの内視鏡も素晴らしいと思っております。両社のさらなる向上を期待すると共に、内視鏡によって救われる方々が全世界で増えていくことを切に願います。